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み ん な 元 気 に な る 絵 本

こわがりのかえるぼうや

こわがりのかえるぼうや表紙絵  かえるのジェロームぼうやはとても怖がり屋。なかでも夜ひとりで寝るのが苦手です。パパとママに、だっこしてもらったりキスしてもらったり絵本を読んでもらったり、至れり尽くせりさんざん手間ひまかけさせたにもかかわらず、言い掛かりをつけて起きてきてしまいます。「ザクザク、ゴソゴソ、キキキッ、パチャ」 という音が聞こえるから眠れないというのです。
 眠れない言い訳を考えつく子のお話はよくあります。筆頭に挙げられるのは、この欄でもご紹介済みの「おやすみなさいフランシス」でしょう。今回の絵本と、前半の展開はそっくりです。さて、 後半はというと……。
 しつこく言い張るジェロームに根負けしたママは、自分のベッドにジェロームを入れて寝かせてくれます。そうなると眠れなくなったのはパパのほう。しかたがないのでジェロームのベッドで寝ることにしたパパが聞いたのは、ま、まさしく「ザクザク、ゴソゴソ、キキキッ、パチャ」という音ではありませんか。わー、たいへんだ、怖いよー。
 いえ、大丈夫。ここからが本当のパパの出番です。勇敢なパパは不気味な音の正体を突き止めます。そして、 ジェロームをそっと起こしてきて、いっしょにその音に耳を傾けます。つきとめてみればちっとも怖くない、楽しい音に聞こえてくるのでした。
 音の正体についてのネタバレはご容赦いただくとして、うちの子どもたちが喜んだのはこの結末でした。そして、「フランシスの終わり方はハッピーエンドじゃなかった」と、今になって訴えられました。「フランシスのお父さんは怖かった。怖いから言うことを聞いただけという感じだった」と言うのです。えー、そうだったのか。道理であんまりリクエストがなかったわけだ。
 作者のキティさんは子どものころにフランシスを読んだ年代です。もしかしたら、うちの子と同じような感想を持ったかもしれませんね。今年3月に、あこがれのアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞されました。今後の活躍が楽しみな、お母さん作家の登場です。

 

キティ・クローザー 作・絵 平岡敦 訳 徳間書店 1,680円
(2010年 ’平成22年’ 6月16日 156回 杉原由美子)

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カテゴリー:2010年

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