ニイガタブックライト その2 - 一箱は面白い

「一箱古本市in現代市2015」では、60店程の出店があり、勿論全店「一箱」店です。というのも、「BOOK DAY とやま」では、「一箱古本市」と「古本祭り」と「新刊書コーナー」が同時開催で、今年はその他にカレー屋さんやカフェも何件も出店していて、私は純粋に「一箱」だけの市を経験していないのです。
「一箱古本市」は、プロ・アマを問わず、自分の思いを段ボール箱ひとつ分に凝縮して販売する古本市です。特に平生は会社員だったりする人が、つまり本屋さんや古本屋さんでない人が、読み終わった自分の本を売りに来るわけで、自分の読書歴を、延いては自らの真情を曝すことになるとも言えます。一方お客さんは、一箱の中身を量って、自分と心が通じ合う人かどうかを探り、行けそうなら店主と会話し、気に入った本があれば購入する。目下ベストセラー中とか、今朝のTVで話題の本とか、一箱に来る客はコレ!といった傾向と対策を考えるとか、本屋が普通に考えるだろう本の販売とは全く異なるシチュエイションなのです。
私の隣のご夫婦お店は、とてもハードな芸術系の本を販売しておられるのですが、バンバン売れて行きます。補充しても補充しても売れに売れ、ほぼ完売状態になりました。ご主人は建築家で、ても穏やかな方、奥さんは大学の教員でとても活発で明るい方です。販売している本は、全てご夫婦が買って、読み通した本です。どれもカッコイイ、しかし難しそうで、高そうな本ばかりです。これがご夫婦の読書歴であり、ある意味ご本人たちそのものなわけですが、心情的になんとなくではなく、一冊一冊はっきりと言葉にして伝えておられるのです。こんな特殊な本を買う人がいるんだろうかと初めは思っていましたが、次々にお客さんが足を止め、楽しそうに会話され、ニコニコと買って行かれるので、隣で見ている私もつられて一緒に「有難うございました」と挨拶してしまうという有様でした。
隣のご夫婦が販売しておられる本の中に、何千円もするのに800円と値付けされているサイン本を見付けて、サイン本に気づいておられないのではと聞くと、奥さんの「これ、東京の古本屋で千円で買ったの。中を読んだことを差し引くとこれでいいのよ」というお答え。値付けの根拠もはっきりしていて、とても爽やかなご夫婦でした。
「一箱」は、自分が読んだ本を一箱に凝縮して、自分が読んだ本だから、足を止めてくれた方とも、しっかりお話ができて、よい関係を作ることができる。「一箱」は面白い、と教えてもらったお隣さんでした。次回もお隣で出店したいなぁ!!

nbl2015imaichi

とても暑かったけど、楽しかったよ!

ponpon について

本と映画とパソコンと写真とお酒が大好き。
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