田島征三さん!

 1984年11月に、富山の放送局の女性セミナーの講師として、田島征三さんに来てもらいました。
 もう30年近く前のことなので、3軒隣のさぬき庵でてんぷらうどんをいっしょに食べたこと、店の前でパチパチ爪を切っておられたこと、兄の征彦さん(前年同セミナー講師に来ていただいた)の絵付きサインがしてある絵本を購入されたお客さんが(講演会などに当たって、予め出版社の方でサイン本を準備したり、会場で少し余分にサインしてもらうといううことはよくあることで、それが一般書店に回ったケースで、フアンの方であれば、お宝本です)「この本、落書きしてあります」と書店に返品に来たという話、など肝心の絵本や創作と関係のないことばかりぽつぽつと覚えていて、しょうもない限りです。
 「みんな元気になる絵本」第187回(最新)で紹介した『ほら いしころがおっこちたよ ね、わすれようよ』は、この講演の数年前に出版されたばかりで、講演会ではこの作品のリトグラフを展示即売しました。併せて描き下ろしの『やぎ』などのシルクスクリーンも販売しました。講演の後も、店のお客さんや保育士さんが買ってくださって、隣のパン屋の奥さんも『バッタ』を買ってくださったと記憶しています。私も何枚か買って、今店に掛けてある『いぬ』はその時のものです。30年間ずっと掛けてあることになります。
 30年前となると、田島さんは所謂アラフォー、制作中は30代だと思います。「みんな元気になる絵本」の中でも書いているように、この年になってやっと「ほら いしころがおっこちたよ ね、わすれようよ」のおまじないの有り難味が分かるようになったのに比べ、「30代にしてこの卓越した見識は凄い!」とかみさん(妻)。
 といって、田島さんは卓越して仙人のように生きているわけではなく(容姿は仙人のようですが)、当時は東京都日の出村でやぎのしずかやニワトリを飼い、畑を耕す生活の中で作品を作り、ゴミ処分場問題で闘っては作品を作っておられました。
 昨年は、大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレに、新潟県十日町市の鉢集落で廃校を空間絵本にする企画展示で参加。2009年の前回から今回の芸術祭まで4年間、地域の人たちといっしょに取り組んでおられます。東京に住むS子(次女)夫婦(娘の方は今ロンドンです)が、富山へ帰省する途中、この十日町のアートトリエンナーレを訪ね、大変感動して帰京の折も再び寄ったと話していました。私は昨年何回も新潟へ行く機会があり、この大地の芸術祭のことも知っていたのに行けなくて、とても残念です。今年F子(三女)が8月に中国へ留学の予定なので、見送りを口実にして帰りにこの十日町の「絵本と木の実の美術館」を訪ねたいと思います。
 そして今、田島さんは、瀬戸内国際芸術祭2013に出品、高松市大島の国立ハンセン病療養所跡地で、入所者の方が暮らしていた建物を使った作品『青空水族館』を展示しておられます。(この芸術祭会場は、毎日新聞に現在連載中の池澤夏樹著、小説『アトミックボックス』で主人公が逃走する舞台でもあります。芸術家の方々のこの今を生きる姿勢に、とてもワクワクさせられます)田島さんの、まさに今を表現する創造力、人を動かす力強さ、すごいなぁと思います。

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