領収証、バーベキュー、優先!

今日は朝6時から町内のアメシロ防除。今年、私は町内の班長なので、自分の班でなくても防除に出ることになります。アメシロ防除は、年3回あります。このアメシロ防除に、生産組合所有の噴霧機を貸出しているので、半日分3,000円の売上。毎度有!しかし、生産組合に領収証用紙が無いので私が作ることに…。
アメシロ防除が終わったら、次は生産組合の出役調整の会合に出席。今回営農組合からの要請は、除草剤散布と溝切りの分担を決めることなのですが、毎回難航の上の難航です。圃場を所有しているのに、耕作に全く参加しない生産組合員が約4割います。地域に住んでいないのに圃場だけ所有して生産組合に在籍していることになっている人までいます。これって、『不在地主』って言うんじゃないの、ね~ぇ、小林多喜二さん。出役調整はいっこうに話が進まず、営農組合の慰労会(バーベキュー)が6月20日に開催されるので、生産組合員に案内することになり、お知らせを私が作ることに…。
今日は日曜日。日販の荷物も来ない。早朝のアメシロ防除を済ませたら、店に行って、富山国際会議場での出張販売の準備、日枝神社山王祭りに店舗前での露店販売の準備、ニイガタブックライトの準備をぜ~んぶ仕上げて、滞っている会計王の入力もして、登録済みの古書をホームページにアップロードして、未登録のまま段ボール箱に詰め込んで、山積みになっている古書の少しでも登録作業をして、そしてそしてと色々考えていたのですが…。
店に着くと、先ずはインターネットで領収証の雛型をダウンロード。Excelで作られていたのでちょっと扱いにくかったけど、いい感じに仕上がりました。続いてWordでバーベキューの案内。こちらもおいしそうに仕上がり満足。安心したら朝も早かったので急に眠くなって突然居眠り。もう起きれなくなって、今日はおしまい。

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アーサー・ビナードさんに会えて嬉しい

今日は、私が住んでいる射水市の小杉文化ホール・ラポールで、アーサー・ビナードさんの講演会がありました。私とカミさんとM子(長女)で、著書の即売をしました。たくさん出版されているので、主催者の方々と絞りに絞って、12タイトル。熱意と誠意の日販担当者さんのお蔭で、どぉ~んと山積みしてお迎えしました。アーサー・ビナードさんは、前日名古屋、明日は山口で講演とハードなスケジュール。前泊後泊なしで、開場30分前くらいに入場。入口に積まれた本の量にびっくり。こんなに仕入れてどうするの?って。(即売は迫力ですから。請求書が人生(北書店の佐藤さん言)ですよと内心の声)
何より私はアーサー・ビナードさんに会えたことが嬉しくて、開口一番「お会いできて嬉しいです!」毎日新聞北陸版に連載している「みんな元気になる絵本」で、3冊、アーサー・ビナードさんの本を紹介しているので、早速新聞切り抜きをお見せして、でも書いたのはこの人(カミさん)ですけど何て話すと、アーサー・ビナードさんも「えっ、そう、書いてくれたの」と嬉しそうなのですが、「でも、これ、ぼく読んでないなぁ」とのこと。ちゃんとコピー送りましたよね、偕成社さん。
アーサー・ビナードさん、その場で新聞切り抜きを読み始め、『さがしています』の記事に目を留め、作中に登場する1対の軍手がさがしている少年(愛媛県のお寺のご長男で、 広島市内の中学校に入り、学徒動員で建物の取り壊し作業にあたっていて被爆。生家のお寺のご住職、少年の弟さんが、しっかりとしたホームページを作っておられて、詳しく知ることができて、心打たれました)の取材中に、少年の妹さんが、アーサー・ビナードさん(広島在住)のすぐ近所のお寺さんに嫁いでおられることを知ってびっくりしたことなど、いろいろ話してくださっているうちに、はっと気づくと主催者や関係者の方々が時計を見ながらハラハラした表情。慌てて控室へ。
会場入場者は、約450人くらいです。講演は、初めから乗り乗り、アーサー・ビナードさんも熱血講演。主催者や関係者の方々は時計を見ながらハラハラ状況。しかし、講演終了後は、いいお話しだったとみなさんとても満足そうでした。
続いてサイン会です。アーサー・ビナードさん、お一人お一人にしっかり言葉を交わしての濃厚サイン会。従って長蛇の列。主催者や関係者の方々は時計を見ながらハラハラ。交流会は会場も借り上げてあったのに、時間がなくて中止。アーサー・ビナードさん、駆け足で、去って行かれました。きっと、また来てね!
アーサー・ビナードさん、ありがとうございました。主催者のみなさん、アーサー・ビナードさんを引き留めてばかりでごめんなさい。本をお買い上げいただきましたみなさま、どうもありがとうございました。アーサー・ビナードさんも次の講演用に著者割引特典でお買い上げ。あんまり儲かりませんがありがとうございました。
ご心配いただきました本の過剰仕入ですが、お陰様で半分近く売れました。『さがしています』『えを かくかくかく』『ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸』は定番。『泥沼はどこだ 言葉を疑い、言葉でたたかう』文庫本の『亜米利加ニモ負ケズ』『日々の非常口』『空からきた魚』『出世ミミズ』はほぼ完売。詩集英訳の『ひとのあかし』がよく売れていたのがとても嬉しかったです。

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講演前に参加者と談笑する アーサー・ビナードさん

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一人一人とじっくり話しながらの サイン会

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瀧口修造さんの講演録

シュルレアリスム『瀧口修造の光跡 Ⅰ 「美というもの」』という本を読みました。数頁読み進めると、驚いたとに、私の母校であるT高校の3年生に講演をした講演録が載っていました。瀧口修造さんが同窓であることは知っていましたが(私など同窓であることは、まことに申し訳ないのですが)、地方の高校での講演録が、出版物になっていることに、先ず驚きました。本文中にも、「私は…講演というものを頼まれてもお断りしておりますし、ラジオ、テレビの美術番組なども…一切断っているような始末です。」とあるように、瀧口修造さんは、講演の依頼も、美術番組の解説者も、大学教授の招聘も断っておられたようです。その瀧口修造さんが、こともあろうにあの田舎のT高校で学生相手に講演し、その講演内容が記録されていたのです。
もしかするとご本人は、この講演が講演録となって、出版されるとは思っておられなかったのではないかと思ったりします。なぜかというと、とてもリラックスしておられて、母校の後輩たちに、まるで岩波ジュニア新書のような、「学生に与う」というように、心を許して、柔らかな雰囲気で、ご自身の考えを素直に話されておられるからです。
「私は「美術評論」という仕事をやろうとは少しも思っておりませんでした。」と講演は始まります。先祖代々からの医家に生まれながら、医学の道に進むのを拒み、文学を通していろんなものを知ろうと入学した慶應義塾大学の文科を1学期でやめてしまう。しかし、復学した慶応大文科では西脇順三郎先生と出会い、大いに影響を受ける。シュルレアリスムという芸術運動を知り、新しい詩の創作活動を始める。ここでも、「詩人になろう」とか「小説家になろう」とは考えていなかった、と話しておられます。また、学生時代に翻訳したアンドレ・ブルトンの『超現実主義と絵画』が、日本初のシュルレアリスムの文献だったため、美術の分野でシュルレアリスムが盛んになって来るにしたがって、その紹介役を務めなければならなくなったことについても、美術について書くことが自分の職業になるとは夢にも思わなかった、と話しておられます。慶應卒業後、もっと新しい表現の世界へ飛び込もうと思って、映画会社に入り、映画の仕事ですっかり体を壊してしまう。休職中にシュルレアリスムの美術について書いていたら、「美術評論家」ということになってしまった、と苦笑い。
瀧口修造さんは、やっぱりシュルレアリスムでは、第一人者だと思うし、みすず書房の『コレクション瀧口修三』(版元には全巻揃っていないようですが、富山市立図書館は持っています。本屋のくせに全部図書館で借りました)を読むのは大変です。それなのに、一つも威張ったところがなく、そんなたいそうな事をやろうとか、たいそうな者になろうとか一つも思ったことがない、と話しておられることが、とてもかっこいい。「私は「どうしたら自分というものを発見できるのか」ということを、いろいろなことで試してきた」と話しておられるのです。
「私は絵描きさんの友達がたくさんいますけれども、「美術はこうでなければならない」と、あたらに勉強しすぎたために、何十年やってもいい絵が描けないという人を、たくさん見ております。美の「動機」というものがなければ、芸術はゼロに等しいと思います。」と話しておられます。美の「動機」って、何かドン!と突きつけられますよね。「本当に自分の気持ちに触れたもの」「何か自分で発見するもの」。それって、「美」だけでなくて、生きること全部に言えますよね。たとえば、文学の「動機」、本の「動機」、本屋の「動機」…。
そういえば、私の高校3年生の時は、山崎正和さんでした。『鴎外闘う家長』を読んだ後だったので、よく覚えています。

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BOOK DAY とやま! その2ー わむぱむ

「BOOK DAY とやま」の新刊書のコーナーでは、沖縄・与那国の「カディブックス」さん、名古屋の「ON READING」さんがウチと同じブースで、ウチの隣が東京の出版社「ゆめある舎」さん。後で気付いたのですが、そうすると私の隣で販売をしておられた「谷川さん」は、もしかして谷川俊太郎さんの息子さんの奥さん?すると、谷川俊太郎さんのお孫さんのお母さん?!あれ~っ。こりゃまた失礼いたしました!って感じ。
ウチの店の新刊コーナーは、小さい子向けのお出かけブック、近日講演会が開催される「アーサー・ビナード」さんの本、地元出版社「桂書房」さんの本の3つのシマに分けて販売しました。アーサー・ビナードさんの本のコーナーに、今回の「BOOK DAY とやま」に出版社の「思潮社」さんが参加されると聞いていたので、詩集『釣り上げては』も平積みしたのですが、思潮社のさんのブースが見当たりません。どうされたのかなと思っていましたら、編集者のFさんがおいでになっていました。何と長女(M子)が大変お世話になった、洋画家のF先生の姪御さんで、カミさんが編集者時代にお世話になった大学の先生で、歴史学者のF先生の娘さんでした。平積みの本を指差して、「あっ、うちの本だ!」と喜んでもらえました。知的で、明るくて、とても社交的な方で、「ゆめある舎」さんの本を一所懸命応援しておられました。
「思潮社」さんというと、私がどうしても思い出してしまうのが、詩集専門ショップ「ぽえむぱろうる」さんです。私が30数年前、子どもの本専門店を開店することを決心して、カミさんと東京の児童書専門店を見に行きました。吉祥寺の「ハッピーオウル」さん、渋谷の「童話屋」さん、青山の「クレヨンハウス」さん、御茶ノ水の「ピッピ」さんなど、たくさん見て回りました。その中で一番私たちを引き付けたのは、池袋西武のリブロブックセンターの中の児童書専門ショップ「わむぱむ」さんでした。リブロブックセンターには、「わむぱむ」さんの他にも、芸術関係や演劇の本などの専門ショップがいくつもあり、「思潮社」さんが運営する「ぽえむぱろうる」さんもその中の一つのショップで、何とも衝撃の「詩集の専門書店」さんでした。私たちは自分たちの身の丈で精一杯「わむぱむ」さんの真似をして「子どもの本の店 プー横丁」を開店しました。「わむぱむ」さんは、忘れられないお店です。

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BOOK DAY とやま!!

今年の、春の「BOOK DAY とやま」が、富山市総曲輪のグランドプラザで、きょう開催されました。「BOOK DAY とやま」に出店するのは、今回で3回目です。前回、前々回は、一箱古本市に出店したのですが、売り上げが振るわず、今回はスタイルを変えて、新刊の「プー横丁」と古本の「すずめや」の2店を、2ブース借りて並んで出店しました。
今回の「BOOK DAY とやま」のテーマは、「古本とカレー」ということで、カレー専門店、人気レストラン・カフェや北陸の古書店さん、北陸以外からも「古書ダンデライオン」さんや、京都、東京、名古屋など各地の有名古書店さんがたくさん参加して、会場はとても盛り上がりました。
お天気も快晴で、お客様の入りも朝から勢いがありました。お陰様で当店もお客様の切れることがなく、前々回の8倍、前回の30倍の売り上げでした。お買い上げいただきましたみな様には、心より御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
bookday2015

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新発田の 〼〼一箱古本市

 11月2日(日)新発田の一箱古本市に行ってきました。新潟にいる大学生のF子(三女)の用件で出掛けることになり、仕事も休みになったので、少し足を伸ばして行ってみることにしました。地元新発田の「古本いとぽん」さんがお世話をして、新発田で初めての一箱古本市です。そして会場は、何と創業文政五年(それって西暦何年なの?)という古い古い歴史のある金升酒造の酒蔵での開催です。地元酒蔵での開催というのが何とも魅力です。
 娘もこの日はアルバイトがオフで付き合ってくれることになりました。大学の講義の一つに大杉栄についての研究があって、栄が幼少期新発田で暮らしていて、諏訪神社(王紋の蔵元の真向かいにありました)などに、ゆかりの史蹟(もしかしたら、栄が『自叙伝』の中で大倉喜八郎が自分の銅像を境内に立てたことについて書いていることを言っているのかもしれない) があるというので、新発田へ行ってみようかと思ったみたいです。
 大学のある西区から新発田まで、車で約1時間、娘の運転です。娘には新発田へ本の関係(?)で行くとしか言ってなかったので、到着間際になって「お父さん、また酒屋へ寄っていくと言うのやろ」と言われ、目的地が見えてくると酒蔵の看板や色とりどりののぼり旗が揚がっているので、「やっぱり!」「いや、この酒蔵で一箱古本市があるが」と説明すると、娘はちょっと驚いた様子。
 会場の金升酒造さんの構内は、もうたくさんの入場者でにぎわっていました。広い駐車場も大方埋まっています。しかし、目下駐車(バック車庫入れ)がうまくなりたい娘は、やる気充分。何とか空きを見つけて、駐車はバッチリ。実は、娘、「金升」という銘柄を見て、昨日アルバイト先の天ぷら料理店に、この金升酒造の(酒名は忘れたそうですが)めずらしい焼酎が届いて、カウンターの乾坤一の升升半升瓶の横に飾られたとのことで、いっそう気持ちがのってきた様子です。私の方も、本を提げた帰り客の中に、4合瓶を抱えてうれしそうにしているお父さんたちを見つけて、スイッチオンです。
 今回の催し物の正式名称は「〼〼秋市2014 〼〼てしごと市&〼〼一箱古本市in金升酒造(株)構内」というもので、金升酒造を会場に、毎月第一日曜に開催されている「てしごと市」と「蔵カフェ」に「一箱古本市」がタイアップし、バニングキッチン(カレー、多国籍スパイシー料理店)さんなどフードコーナーが加わって、開催されたものです。
 一箱古本市は、大きな酒蔵横の雁木が会場です。かっこいい門をくぐると、雁木に並行して風流な露地になっていて、ちょっと薄暗い中、結構な数の人がそれぞれの店をうかがっている様子は、とてもいい雰囲気です。出店数は十数店で、量ではニイガタブックライトに及びませんし、置賜のような文化的一体感も感じられないのですが、各店は、それぞれに個性的で、本が好きということはよっく伝わってきます。私もいしいしんじさんの文ということだけで、私には合わないかもしれないアクの強い一冊の絵本を、この下越の城下町新発田の厳しい冬を前にしたほんの秋のひとときに、何かぴりっとしたものを感じ、押されるように買ってしまいました。カミさんも、気の合う店主さんと出会えてかなり話し込んだ様子で、とても上機嫌でした。
 カミさんと娘がてしごと市の方へ向かったので、私は蔵カフェへお酒を買いに。私がお酒を手にして戻ると、娘は「お父さん、どこでお酒買ってきたが」と何故か合点がいかない様子で、何度も聞きます。酒蔵へきているのだからそんな変なことだとは思わないのですが。
 この日は、蔵元の庭園も開放されていて、紅葉した木々がとてもきれいでした。蔵見学もさせていただいて、ふるまいの甘酒もいただきました。蔵カフェでは、サービス券でコーヒーをいただき、娘にはおしるこを注文しました。さすがに蔵元の提供だけあって、仕込み水を使ったコーヒーも、おしるこも、甘酒もとてもおいしかったです。
 古い歴史のある、格式高い蔵元さんが、地域の活動のために、お屋敷を提供し、酒蔵も庭園も開放し、甘酒をふるまい、コーヒーのサービス券を提供し、杜氏の専務さんを先頭にスタッフの方々が一生懸命働いておられることに、頭が下がりました。今度また、この蔵元で一箱古本市が開催されるときは、是非行きたいと思いました。こういう環境で一箱古本市を開催することができることを、とてもうらやましく思いました。

 「金升」というお酒については、今まで飲んだことはなかったのですが、地酒防衛軍のブログで見て、知っていました。地酒防衛軍というのは、新潟市内のこんぴら通りに基地を置く、ウルトラマンを中心にした部隊で、先日ニイガタブックライトが開催された沼垂方面から攻撃してくるヌッタリ星人や、地酒愛好を阻む悪者と戦っています。私も隊員証を持っていて、お酒を買うとスタンプを押してもらい、いっぱいになると隊長推奨の4合瓶が授与されます。この隊長一行が金升酒造を訪ねたときの記事が面白くて、「金升」という酒名がしっかり記憶に残りました。
 まず、その記事に載っている酒の写真を見ると、瓶のラベルに「おおかたは呑めばお金がへるものに この酒ばかりは飲めば金升」ととぼけた言葉がとぼけた飾り文字で大きく書かれていて、これには笑ってしまいました。
 また、隊長一行が酒蔵の日本酒タンクの後ろにオーク樽を見つけ、「あっ!オーク樽が隠してある」と口々に言うと、あわてて社長が「向こうに湯豆腐の準備ができました」と後ろから追い立てて、「金升には新発田の富樫の豆腐がおすすめ」とうわごとのように繰り返すので覚えてしまったというブログを、私も何回も読んで覚えてしまいました。
 カミさんと娘と蔵見学をしているときにこのオーク樽を見つけ、この話をすると、ふたりとも面白がって、そのオーク樽の前で揃って記念写真を撮りました。しかし、今回は新発田で湯豆腐は食べませんでした。
 今回購入したのは、「金升 朱」(4合瓶、1,200円)酒米に新発田産越淡麗を100%使用、本醸造ですが添加アルコールに醸造用アルコールを使わず、新発田産米を原料とした米焼酎「柱焼酎」を使ったお酒だそうです。蔵名入りの呑み利きは残念ながらありませんでした。帰りに寄った諏訪神社の真向かいの王紋の市島酒造にちょこっと寄って、酒名(夢)入り呑み利き(240円)2個ゲットしました。

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本 帰る 1 『ベルリン漂泊』

 帰ってきた本たちの中で、とても楽しみにしていたのが、柏原兵三著『ベルリン漂泊』と李恢成著『砧をうつ女』です。2冊とも高校生の時に読んで、その後2、3回は再読した本です。
 『ベルリン漂泊』は、柏原兵三さんのドイツ留学時の体験をもとに書かれたものとだと思いますが、穏やかな表現で書き綴られているのが、とてもいいのです。日本から妻子を呼び寄せるため、戦後の住宅事情が悪い西ベルリンで、住まいを探し求める主人公の、焦燥感、時にはあきらめ、一方で早く家族一緒に暮らすことを待ち望む妻を思い気を取り直すなど、様々な心の起伏を坦々と書き綴っていることに、とても共感できます。
 また、登場人物もしっかり書かれていて、とくに家主のバッハマン夫人は、ケチで、神経質で、頑固で、賢く、誇り高い、確かにこういう人っていると思うし、ドイツ婦人ってこうなのかもしれないと思ったりする。そして、このバッハマン夫人と主人公の反発し合いながらも、心が通い合っていく様子がとても温かいのです。
 この私の本を、古本に登録しているカミさんも、読んでとてもいいと言います。この作品もそうだけど、『長い道』も、戦争中疎開先でイジメにあった人は、日本中にたくさんいたと思うけど、その多くの人が経験したはずのことを、坦々と文章に書き上げて、読者に感動を与えていることに感心すると言っています。
 異常性欲者でも、精神異常者でも、超能力者でもない、超現実でもない、普通の生活者の日常的な出来事から書き上げて、読む者を感動させる小説が私の高校生の頃はたくさんあったように思います。

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本 帰る 

カミさんが古書店を始めたので、今までダンボール箱に押し込められて、背表紙も見ることがでなくなっていた私の本たちが、久々に日の目を見ることができるようになってきています。
私の家は、田舎の農家です。農家の家は、座敷とか、仏間とか、日常生活で殆ど活用することのない空間が、家の中心にあって、毎日生活している者は、その周辺や隅っこにある部屋で過ごしています。玄関も不要に広く、廊下なども(分厚い本棚を置いても十分人が通れる位)無駄に幅広く造られています。そういうところをいつも掃除して、誰ともはっきりしない来客のために準備しているのです。
しかし、田舎の農家にそんな気を張る客などある訳がなく、年に1、2回親戚の誰かが来るか、お坊さんが念仏を上げに来る位です。
そんなふうに使われない空間が在る訳ですから、本ブログ「総曲輪通りのS書店」で書いたように、高校生以来の調子で本を買っている私は、自分の部屋に置ききれなくなった本たちを、この使う当てのない部屋や廊下の一辺に置き始め、その挙句、本屋を始めてからは、裏の納屋や玄関にも、店の在庫の本を置き始めました。
ところが、私の母は、本や本屋の仕事が理解できず、ただただ近所の目や世間体を気にして、この本たちを憎み始め、もう如何にもならず、私の本たちは、ダンボール箱に詰め込んで納屋の2階に、店の本は、店の棚の下などに押し込むことになりました。それ以来長く、私は自分の本たちの背表紙を眺めて日々を過ごす(とても楽しい)時間を失くしてしまいました。
その本たちを、かみさんの古書店に置いてもらうことになりました。4、5箱ずつ、もう10回以上家から運んできたので、店のバックヤードがいっぱいになって、しばらくは運び込むのは中止です。かみさんの登録の作業もなかなか進みません。少しずつでもダンボール箱が開けられて、懐かしい私の本たち顔を見ると嬉しくて、ワクワクしてきます。かみさんも面白い本がいっぱいあると喜んでくれるので、嬉しいです。ただ、かみさんのことですから、登録しようと仕事を始めても、面白そうだと読み始めてしまい、登録の作業が捗りません。今も、堀田善衛の『若き日の詩人たちの肖像』の登録作業が始まって、一生懸命「この人の文章面白いわぁ」と読んでおられます。(早く登録作業をして、私の本たちを全部ダンボール箱から出してほしいのですが!!) 折も折、丁度かみさんの中学校の恩師がら手紙が送られて来て、堀田善衛の『方丈記私記』について書かれた箇所があり、かみさんは、「堀田善衛の『方丈記私記』を持っている?」と聞きます。「多分あると思うよ」答え、これで登録作業のピッチも上がるかなと期待。しかし、程なく当該の本は、ダンボール箱から顔を出し、多分かみさんはその本を読み始めるでしょうから、依然作業は停滞したままということになりそうです。
もちろん私も、ダンボール箱の中に詰め込まれていた本たちを、1冊1冊取り出していくと、また読みたくなってきます。今読むと、若い頃には感じられなかった作家の思いを、今になって気付かされたように思うことがあります。全部読み返すことは無理だけど、ダンボール箱を開けた上の方から順番に何も考えずに摘み出して、読んでいこうかなと思っています。

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山形へ行ってきました

6月28日にF子(三女)の大学の後援会の総会があるのに便乗して、山形の置賜地区で6月21日~29日に開催されている「Book! Book! Okitama 」の29日分の1つ、川西町フレンドリープラザで企画されている「読書と昼寝の日曜日」に往ってきました。
お目当ては、同プラザ内にある「遅筆堂文庫」と一箱古本市。一箱古本市は、面白かったです。出店者は20数店なのですが、店を出している人も、お客さんも、レベルが高いのです。大半が地元の方々らしいのですが、米沢や会津、新潟、秋田から来た人もいて、最初の店から、最後の店まで、じっくり見てきました。皆さん本の話が面白いのです。人見知りな私が、どんどん話に引き込まれてしまいます。かみさんが、「あれっ!話ししとる」と驚いたと言っています。本の方も、会話が面白いので、ついつい買い込んでしまって(本当は、会津、米沢、新潟で清酒を買い込むためにJAバンクから下ろしておいた予算なのですが)、「古本いと本(ぽん)」さん(新潟県新発田市から)では、古本市なのに、『HAB』という新刊本まで買ってしまいました。本当に楽しかったです。
私が、本を見ていた隣の店で、南陀楼綾繁さんが取材をしておられて、なんとなく聞いてしまったのですが、南陀楼さん「ここでこれだけの出店があって、これだけのことができているのはすごい。やはり遅筆堂文庫があるからですか?」の問いに、隣の店の女性「小さい町ですから、皆つなっがっていて、会社員の人もいれば、店主の人もいるんですが、こういう事をやるんでお願いと言えば、いいよってそれぞれ考えてくれるんです。それに、いろんなところで読書会を開いているので、そういうつながりもあるんです」との答え。読書会!?大人たちが集まって読書会が開かれていて、そして継続しているというのです。驚き!そういえば、出店している各店の文芸書の傾向が似ています。
子どもの本の店も結構多くて、所謂良書の絵本がたくさん出ています。月刊絵本を置いているおじさんの所に、にこにこしながら知り合いらしいお客さんのおじさんが来て、「おっ!『母の友』、これいいよね!」と話しかけると、「ウチ、ずーっと取ってる」と答え、そのまま話が弾んでいきます。会話しているのは、おじさんたちです!まるで、東京のインテリの、今注目のイクメン同士の会話のようでした。富山では、想像できません。川西町は「樽平」の蔵元がある町ですが、とても小さな町で、出発前は、こんなに楽しい体験ができるとは思っていませんでした。全く予想外でした。
「遅筆堂文庫」は、作家井上ひさしさんが、生まれ育った川西町(旧・小松町。だから、「こまつ座」なんですね)に寄贈した、自身の20万冊に及ぶ蔵書を基に運営されているもので、一度は行きたいと前々から思っていました。昨年も計画したのですが、行けなくて、「Book! Book! Okitama 」の企画を知って、今年こそと決めました。
今年の春に北九州の小倉で見た、松本清張記念館の蔵書も凄かったけど、井上ひさしさんの蔵書も凄い!蔵書というと、何か学者さんのしち難しい資料の山を連想してしまうのだけど、こうやって全ての蔵書を手に取って見ることができると、私達が自分の蔵書として買い溜めているのと同じように、大作家井上ひさしさんと言えども、普通の書店で売られている本を、自分の関心や目的に沿って、黙々と読み尽くしていかれたのだな思い知らされました。どの本を見ても、この本はあの本になったあのテーマに関心を持って読まれたのかなと想像したり、自分が関心のあるテーマの本がまとまって棚にあったりと、いつまでもこの場所をを離れることができません。今日のうちに新潟へ戻らなければなりません。これから2時間余り、10以上の峠を越える山道を走り抜けなければなりません。新潟から米沢へ来た道もそうでしたが、川西から新潟へ行く道も大雨になると通行止めになってしまいます。米沢では、朝に土砂降りの雨にあっていて、心配なので、泣く泣く帰ることにしました。

PS.2013年9月8日の本ブログ「幻の酒」で、かみさんに「それは、やっぱり、山形へ行ってみないとね」と言われて、へこんでしまった私でしたが、ついに山形へやって来ました。
米沢へは、喜多方から入って来ました。阿賀町では、麒麟山酒造と下越酒造を見て、阿賀町内酒店専売の麒麟山の「はでっぱの香」(4合瓶980円)と蒲原特別純米酒(4号瓶1,350円)を購入。包んであったのが日刊赤旗(富山で「獺祭」を買う店も、日刊赤旗に包んでくれます)。会津坂下では、廣木酒造、曙酒造、豊國酒造がまとまって建っていて、廣木酒造の前には「飛露喜売切れ」の貼紙。「天明本生純米中取り零号」(4合瓶1,315円)と喜多方でラーメンを食べるのに並ばなければならないみたいで、その上酒屋さんに寄るのは面倒なので、「奈良萬純米生酒無濾過原酒」(4合瓶1,400円)も一緒に購入。こちらは、日経MJで包んでありました。
さて問題の山形ですが、サクランボ「佐藤錦」は簡単に食べれます。上杉神社では、観光客に試食を配りまくっていました。かみさんが、買わないので食べないというので、当たりませんでした。プランテーションの件は、取り下げです。
一方お酒については、「十四代」は勿論ありませんが、またもや気になることがありました。東光の酒蔵では、蔵名入りの呑利きだけを買うことにして、東光の蔵自身では販売しない、「洌」という東光の特約店限定流通酒があるので、それを購入しようと、東光の数軒隣の同じ苗字のしっかりした感じの酒屋さんへ、ここなら必ずあるに違いないと出かけました。ところが、「洌というお酒があることは聞いたことがあるが、米沢のどの酒屋にも売ってないのです。東京の方にはあるみたいだけど、私たちはその姿も見たことがないのです」とその酒屋の奥さんは言うのです。米沢の酒蔵が造っている酒を、数軒隣の酒屋さんが見たこともなく、米沢の何処の酒屋にもない。米沢で造られている酒が、米沢の人は見ることも、呑むこともできない。何とも不思議な気分です。なのに、こちらの酒屋さんには、北陸の酒、「立山」も「天狗舞」も「黒龍」も「久保田」も売られているのです。気持ちを切り替えて、「くどき上手純米大吟醸」(4合瓶1,523円)と「出羽桜つや姫」(4合瓶1,512円)を購入。帰り掛けに「おしょうしな」の挨拶に感無量。東光の蔵でも、蔵名入りのしかも蔵人の絵が描かれた立派な呑利きが売られていて、4種類(1個210円)購入して満足。
あっそれと、川西町に来たからには「樽平」を買いたいと思っていたのですが、こちらの酒屋さんにあるのが一升瓶だけで、4合瓶だと「住吉」になるとのことで、あきらめたのですが、その後米沢駅で見付け、予算オーバーなのですが、「特別純米原酒銀樽平」(4合瓶1,572円)購入しました。『作家の酒』によると、「樽平」は作家井伏鱒二さん好みのお酒の一つのようで、東京新宿にある「樽平」直営の居酒屋にも通っておられ、青島幸男さんが東京都知事時代、「井伏さんが座った席はどこ」と訪ねて来たことがあったそうです。

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ペコロスの母とハンナ・アーレントに会いに行く

昨年の年末からずっと、色々あって、全くやられっぱなしの状態から脱出しようと、2月9日にかみさんとフォルツァ総曲輪へ行って、映画を2本ぶっ通しで観てきました。 1本目は12:10~14:10の「ペコロスの母に会いに行く」、2本目は14:30~16:30の「ハンナ・アーレント」 タイプの違う2作で、「ペコロスの母に会いに行く」はガーッと涙が出てくるようなコメディ、「ハンナ・アーレント」はピリピリ緊張してしまう実話。感情が大きく振幅して、気持ちスッキリ。少し自分を取り戻した気分です。
「ペコロスの母に会いに行く」は、長崎に住むペコロス岡野さんが、認知症になった母親と暮らす今と気丈に生きてきた母親との今までの生活を愛情豊かに描いた原作漫画が、SNSなどで人気となり、いろんな人々の協力、協賛を得て、制作実行委員会みたいな形で作られた映画です。
我が家にも、92歳の父と86歳の母が同居しており、ペコロスさんのお母さんのような認知症ではないのですが、年も年なので、大変呆けてきており、2月10日にF子(三女)が半年の中国留学から帰って来たときも、父は丁度インターネットで囲碁の対局中で、「おじいちゃん、ただいまぁー」と娘は感無量なのですが、父は「おかえりー」と言って、そのままコンピューターに向かって対局。「おじいちゃん、私が帰って来たこと、分かっているのかなぁ?」とF子。そこで、M子(長女)が、父のところへ行って、「おじいちゃん、Fちゃん帰って来たよ!」と言ったところ、父は「おかえりー」と言って、そのままコンピューターへ。「おじいちゃん、本当に分かっているのだろうか?」とM子。
と、こんなことばかりです。
ペコロスさんは私の姉と同じ年生まれのようで、今の家族との生活で共通するところがあるように、子供の頃の様子も似ています。映画の中で、酒好きなお父さんが、給料日に真直ぐ家に帰ってくるように、お母さんがペコロスさんに言い聞かせて、迎えに行かせたが、まんまとポン引きに連れて行かれて、給料袋も財布の中身も取られてしまい、お母さんは泣き叫び、お父さんは暴力を振るうというシーンがありました。私の父も港町のNKKの工場の職工で、町は工場城下町で、周りにそういう労働者がいっぱいいて、毎日夜勤をしているのに、クリスマスだ、忘年会だ、メーデーだといっては、会社の人と飲みに行って帰ってきません。月給もボーナスも紙袋に入ったのを貰って来ます。家ではそういうことはなかったと思いますが、同僚の人が、飲みに行ってボーナス袋を盗られたのか、落としたのか分からなくなった話を父がしていて、それを聞いた母が真っ青になっていたのを子供ながらに覚えています。(つづく、一旦公開)

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