6月28日にF子(三女)の大学の後援会の総会があるのに便乗して、山形の置賜地区で6月21日~29日に開催されている「Book! Book! Okitama 」の29日分の1つ、川西町フレンドリープラザで企画されている「読書と昼寝の日曜日」に往ってきました。
お目当ては、同プラザ内にある「遅筆堂文庫」と一箱古本市。一箱古本市は、面白かったです。出店者は20数店なのですが、店を出している人も、お客さんも、レベルが高いのです。大半が地元の方々らしいのですが、米沢や会津、新潟、秋田から来た人もいて、最初の店から、最後の店まで、じっくり見てきました。皆さん本の話が面白いのです。人見知りな私が、どんどん話に引き込まれてしまいます。かみさんが、「あれっ!話ししとる」と驚いたと言っています。本の方も、会話が面白いので、ついつい買い込んでしまって(本当は、会津、米沢、新潟で清酒を買い込むためにJAバンクから下ろしておいた予算なのですが)、「古本いと本(ぽん)」さん(新潟県新発田市から)では、古本市なのに、『HAB』という新刊本まで買ってしまいました。本当に楽しかったです。
私が、本を見ていた隣の店で、南陀楼綾繁さんが取材をしておられて、なんとなく聞いてしまったのですが、南陀楼さん「ここでこれだけの出店があって、これだけのことができているのはすごい。やはり遅筆堂文庫があるからですか?」の問いに、隣の店の女性「小さい町ですから、皆つなっがっていて、会社員の人もいれば、店主の人もいるんですが、こういう事をやるんでお願いと言えば、いいよってそれぞれ考えてくれるんです。それに、いろんなところで読書会を開いているので、そういうつながりもあるんです」との答え。読書会!?大人たちが集まって読書会が開かれていて、そして継続しているというのです。驚き!そういえば、出店している各店の文芸書の傾向が似ています。
子どもの本の店も結構多くて、所謂良書の絵本がたくさん出ています。月刊絵本を置いているおじさんの所に、にこにこしながら知り合いらしいお客さんのおじさんが来て、「おっ!『母の友』、これいいよね!」と話しかけると、「ウチ、ずーっと取ってる」と答え、そのまま話が弾んでいきます。会話しているのは、おじさんたちです!まるで、東京のインテリの、今注目のイクメン同士の会話のようでした。富山では、想像できません。川西町は「樽平」の蔵元がある町ですが、とても小さな町で、出発前は、こんなに楽しい体験ができるとは思っていませんでした。全く予想外でした。
「遅筆堂文庫」は、作家井上ひさしさんが、生まれ育った川西町(旧・小松町。だから、「こまつ座」なんですね)に寄贈した、自身の20万冊に及ぶ蔵書を基に運営されているもので、一度は行きたいと前々から思っていました。昨年も計画したのですが、行けなくて、「Book! Book! Okitama 」の企画を知って、今年こそと決めました。
今年の春に北九州の小倉で見た、松本清張記念館の蔵書も凄かったけど、井上ひさしさんの蔵書も凄い!蔵書というと、何か学者さんのしち難しい資料の山を連想してしまうのだけど、こうやって全ての蔵書を手に取って見ることができると、私達が自分の蔵書として買い溜めているのと同じように、大作家井上ひさしさんと言えども、普通の書店で売られている本を、自分の関心や目的に沿って、黙々と読み尽くしていかれたのだな思い知らされました。どの本を見ても、この本はあの本になったあのテーマに関心を持って読まれたのかなと想像したり、自分が関心のあるテーマの本がまとまって棚にあったりと、いつまでもこの場所をを離れることができません。今日のうちに新潟へ戻らなければなりません。これから2時間余り、10以上の峠を越える山道を走り抜けなければなりません。新潟から米沢へ来た道もそうでしたが、川西から新潟へ行く道も大雨になると通行止めになってしまいます。米沢では、朝に土砂降りの雨にあっていて、心配なので、泣く泣く帰ることにしました。
PS.2013年9月8日の本ブログ「幻の酒」で、かみさんに「それは、やっぱり、山形へ行ってみないとね」と言われて、へこんでしまった私でしたが、ついに山形へやって来ました。
米沢へは、喜多方から入って来ました。阿賀町では、麒麟山酒造と下越酒造を見て、阿賀町内酒店専売の麒麟山の「はでっぱの香」(4合瓶980円)と蒲原特別純米酒(4号瓶1,350円)を購入。包んであったのが日刊赤旗(富山で「獺祭」を買う店も、日刊赤旗に包んでくれます)。会津坂下では、廣木酒造、曙酒造、豊國酒造がまとまって建っていて、廣木酒造の前には「飛露喜売切れ」の貼紙。「天明本生純米中取り零号」(4合瓶1,315円)と喜多方でラーメンを食べるのに並ばなければならないみたいで、その上酒屋さんに寄るのは面倒なので、「奈良萬純米生酒無濾過原酒」(4合瓶1,400円)も一緒に購入。こちらは、日経MJで包んでありました。
さて問題の山形ですが、サクランボ「佐藤錦」は簡単に食べれます。上杉神社では、観光客に試食を配りまくっていました。かみさんが、買わないので食べないというので、当たりませんでした。プランテーションの件は、取り下げです。
一方お酒については、「十四代」は勿論ありませんが、またもや気になることがありました。東光の酒蔵では、蔵名入りの呑利きだけを買うことにして、東光の蔵自身では販売しない、「洌」という東光の特約店限定流通酒があるので、それを購入しようと、東光の数軒隣の同じ苗字のしっかりした感じの酒屋さんへ、ここなら必ずあるに違いないと出かけました。ところが、「洌というお酒があることは聞いたことがあるが、米沢のどの酒屋にも売ってないのです。東京の方にはあるみたいだけど、私たちはその姿も見たことがないのです」とその酒屋の奥さんは言うのです。米沢の酒蔵が造っている酒を、数軒隣の酒屋さんが見たこともなく、米沢の何処の酒屋にもない。米沢で造られている酒が、米沢の人は見ることも、呑むこともできない。何とも不思議な気分です。なのに、こちらの酒屋さんには、北陸の酒、「立山」も「天狗舞」も「黒龍」も「久保田」も売られているのです。気持ちを切り替えて、「くどき上手純米大吟醸」(4合瓶1,523円)と「出羽桜つや姫」(4合瓶1,512円)を購入。帰り掛けに「おしょうしな」の挨拶に感無量。東光の蔵でも、蔵名入りのしかも蔵人の絵が描かれた立派な呑利きが売られていて、4種類(1個210円)購入して満足。
あっそれと、川西町に来たからには「樽平」を買いたいと思っていたのですが、こちらの酒屋さんにあるのが一升瓶だけで、4合瓶だと「住吉」になるとのことで、あきらめたのですが、その後米沢駅で見付け、予算オーバーなのですが、「特別純米原酒銀樽平」(4合瓶1,572円)購入しました。『作家の酒』によると、「樽平」は作家井伏鱒二さん好みのお酒の一つのようで、東京新宿にある「樽平」直営の居酒屋にも通っておられ、青島幸男さんが東京都知事時代、「井伏さんが座った席はどこ」と訪ねて来たことがあったそうです。